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当ブログは管理人、三枝りりおのオリジナル作品を掲載するブログです。
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Zodiac Murder(5)
「…さて、それじゃあ説明するよ。ほら、カタツムリ君聞いてる?」
「だから柿本……もうどうでもいいや。」
結局全てクッキーを食べさせられて抗議をする気力さえなくなったボクを尻目に、結城くんは解説を初めた。
「おそらく、犯人は何かの危ない宗教信者で、神に生け贄を捧げていると考えられる。まあここまではみんな想像付くと思うけど。」
「うん!問題は狙われた子の共通点だよね?」
「そう。年齢も性別もバラバラ、唯一の共通点はこの北奎宿校の生徒というだけ。でももう一つ共通点があったんだ。」
「もったいぶらずにさっさと言えよ。」
「誕生日だよ。山里由梨江は九月六日生まれ、戸田悠磨は十月五日生まれなんだよ。」
「…それって共通点なんですか?」
「うん。犯人は十二星座に何かしら関係した犯行を行なっているみたいだからちょっと調べてみたら、プログレスに関係してるみたいなんだ。」
「プログレス…ってなんだ?」
「占星術の占い方の一つ。日本語だと進行法とも言うらしい。その中で最も一般的なのが一日一年法と言ったもので、一ヶ月の天体の進行をその人の一年の天体の進行として人の一生を占うんだ。地球が太陽の周りを回るにつれ、太陽は三十度ごとに変化する星座を移動して行く。例えば、涼は九月十五日生まれだろ?プログレス太陽が乙女座を通り過ぎるのは七日後の二十二日。つまり涼は七歳の時から天秤座の影響を受けてることになる。」
「それと二人に共通点があるの?それに裕太くんとも。」
「…山里由梨江は乙女座の真ん中から一日早く生まれている。戸田悠磨は二日早い。つまり今年の誕生日には二人とも次の星座の影響を受けるようになる。カキネグサ君もだ。この学校では君らが一番自分の星座の影響を受けている。影響を受ける星座が変わってしまうと効力が薄くなってしまうんじゃないかな。」
「で、でも、なんでウチの学校なんです?ほかにも世の中には同じ星座の人なんて沢山いるはずなのに…。」
「多分学校の位置だよ。涼、このあたりの地図出して。」
「…これか?」
結城君は涼君から受け取った地図を広げ、学校を指差しながら言った。
「北奎宿校は市では最も北の方向にある。涼、北にある星と言えば?」
「北…?え、と…──」
「北極星…かな?」
「さすがカキイロガミ君。それに比べてまったく涼は……。」
「悪かったな!だいたいお前はいつもそうやって──」
「北極星は一年中動かない。それに何か意味があるんじゃないかな。」
「無視かよ!」
「さすが馨くんだね!で、犯人は??」
「…………こ、今週中にはカキイロガミ君を襲いに現れるだろう。君以外にもまだ九人分も襲わなくてはならない訳だし。」
「目星付いてねーのかよ。」
「そういえば涼、美弥のクッキーまだ一袋分残ってるよ?」
「…わるかった。」
「犯人は放課後を狙っている。おそらく犯人は学校内で殺したいだろうし、絶対一人になるなよ。」
「……わかった。」