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当ブログは管理人、三枝りりおのオリジナル作品を掲載するブログです。
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Midnight UMA(2)
「今日からは、最近の『噂』について調査していこうと思う。」
「噂?」
「もしかして、河童の事?」
「ああ。」
「なんだそれ。」
「カッパって、あの妖怪の事?」
「あれ、裕太くんも涼くんも知らないの?最近この辺りで河童に襲われたって噂があるんだよ。階段で突き飛ばされたとか、水を頭からかけられたとかね。」
「なんだその噂…。河童ってそんな事するのかよ。」
「現在はキャラクター化していてひょうきんなイメージだが、河童は結構恐ろしい妖怪なんだぞ。沼に潜んでいて牛馬など家畜を引きずり込んで食べるという説話もある。」
「ええ…想像出来ないな。」
「牛馬どころじゃない。尻子玉って聞いたことあるだろう?河童は人間の尻子玉が大好物なんだ。人間にあうと尻子玉を抜こうとするらしい。」
「それよく聞くよね!でも尻子玉って何なのかなあ。」
「尻子玉が人間のどの器官の事を表しているのかは定かじゃない。だが、どうも内臓を指しているという説が有力なんだ。」
「えっ。それって…。」
「尻子玉は尻にあるそうだからな。肛門から内臓を抜き取るって事だね。生きたまま。」
「怖!そんな怖い妖怪だったの!?」
「中には大工を手伝ったとか、河童の妙薬をくれるとか、人間に友好的な河童もいるみたいだが、この地域ではいい話は聞かないね。」
「この辺りって河童の伝説多いのか?」
「お前地元だろ。ったく涼は…。僕が聞いた話だけでも三つあるぞ。」
「私も聞いた事あるよ!悪さばっかりする河童がお侍さんに腕を切られちゃったお話知ってる!」
「あ、ボクもそれ聞いた事ある。でもただのお伽話だと思ってたよ。」
「まあよくある妖怪退治譚だからな。それ以外にも尻子玉を強請る河童と相撲で決着をつける話、河童と女が結婚する話なんかもある。」
「そういえば何処かで聞いた事あるな…。」
「どの話も河童は人に悪さをする妖怪として語られているね。『河盛市郷土史研究』によれば、河盛市がまだ村だった頃、村を横断している銀漢川の水害が酷く、水神として河童を祀っていたそうだが、後に都から伝来した淤加美神(おかみのかみ)という日本神話の水神に信仰が移ってしまった事により、河童が妖怪に零落したという説が最も有力とある。つまり、祀ってくれなくなった事で河童が怒っているってわけだね。」
「よくそんな資料見つけて来るね…。」
「ということで、この地域には河童が棲息している可能性が高い!しかも、目撃情報もある。これはオカルト研究部として調査しない手はないだろ!」
「迷惑な噂がたったもんだな。」
「でも、今回はちょっと本物っぽくない?面白そうだよ!」
「決まりだな。明日から聞き込み調査だ!」