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Panta rhei

当ブログは管理人、三枝りりおのオリジナル作品を掲載するブログです。

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Albtraum番外編1(3)


番外編1(3)



 放課後、涼は小学校時代からの友人の江藤義人とダラダラと時間を潰していた。義人は自分のメモ帳を見つめている。

「結城馨ねー。今年親の仕事の都合でこの街に引越して来て涼のクラスに転入してきたんだと。特に不良だったって話もねーし、他の生徒の話じゃ人当たりの良い優等生らしいぜ。」

「ふーん。相変わらずよく調べてるよな。」

「『情報通の義人』だからな!転校生だろうと調べておくに決まってるだろ。まあしかし、転校生とはいえお前に話しかけるとは、やるよな結城馨。」

「喧嘩売ってるようにしか思えねえ。妙に飄々として取り付きにくいし。」

「そんなに嫌ならちょっとやっちまえば?そうすりゃもう寄って来ないだろ。」

「…わざわざ殴る必要はないだろ。次は追い返す。」

「涼が口で言い負かすってのは無理だと思うけどな……。」

「…うっせえ。」

「あ、今自分でもちょっとそう思っただろ。」

「黙れ。そして帰れ。」

 そういうと涼は立ち上がり、荷物をまとめはじめた。

「あ、もう帰んのか?」

「ああ。妹家に一人だし。」

「妹思いだなー。あ、そういや最近先輩達とはどうなんだ?」

「…別に。」

「お前なぁ。そろそろあの人達と縁切った方がいいぜ。裏ではヤクとか相当ヤバイ事やってるらしいからな。そのうち取り返しつかないことに巻き込まれたらどうすんだ?」

「…うっさい。自分でなんとかする。お前は変な真似すんなよ。じゃあな。」

「お、おう。…ったく、本当は優しい奴なのにな。」

 当時涼は南奎宿高の不良達と多少繋がりがあった。腕が立つ所を買われて他の派閥の不良同士の喧嘩に駆り出されたり、時たま遊びに誘われていた。

「下手に俺が手を出しても涼に迷惑かけるだけだ。見守るしか出来ないってのが悔しいな…。しかし、結城馨ねぇ。もう少し調べてみるか。」

 そういうと義人もカバンを無造作に掴み、家に帰って行った。

 翌日の昼、屋上のドアが開いた。

「やあ三上くん。君って屋上好きなんだね。なんとかと煙は高いとこが好きってやつ?」

「うぜえ帰れ。」

「こんなとこで寝ると風邪引くよ。あ、ごめんなんとかは風邪引かないんだよね。」

「…まじで殴った方が早いか。」

「え?聞こえないんだけど。外なんだからはっきり言ってくんなきゃ聞こえないよ。」

「あーうるさい!お前と話すと調子狂うんだよ!いても良いから話しかけんな!」

「……わかったよ。」

「……。」

「……。」

「……何でガン見してんだよ。逆にいたたまれねーよ!」

「…三上くんが話しかけんなって言ったんじゃないか。うざ。」

「~~っ!はあ、もういいよ。てかお前なんでここに来るんだ?静かじゃねーだろ。」

「……。」

「それに、三上には関わるなってクラスの奴に言われなかったか?」

「……。…あ、そろそろ時間だ。じゃあね。」

「は?おい…」

 てっきり皮肉が返ってくるとおもっていたのに、少し言葉に詰まったような態度をとられ、涼も強く問うことが出来なかった。結城は早々と屋上を出て行った。

 しかし、それからも、毎日結城は昼休みに屋上にやって来た。どうして屋上に来るかについてはお互いはなすことはなかった。結城は来る度に涼に妙な話題の振り方をし、涼を振り回していたが、それもおなじみとなっていた。



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