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Panta rhei

当ブログは管理人、三枝りりおのオリジナル作品を掲載するブログです。

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第三話 Midnight UMA(7)


Midnight UMA(7)



「…まさか、ね。」

 銀漢川の近くに妙な建物、そこに不信な動きの小柄な人影。怪し過ぎる。いやいや、何を考えてるんだボクは。馨君に影響されたのかな。

「君、ここに入りたいの?」

「ひぇっ!?」

 気付いたら、ボクはその建物の前まで来ていた。目の前には二十代半ばらしき男の人が微笑んでいる。独特の雰囲気の人だ。この建物の関係者だろうか。

「い、いえ!この辺には珍しい建物だなって思って!えと、うろついちゃってすみません。」

「ああ…。別に謝らなくてもいいよ。ここは教会なんだ。」

「教会、ですか。」

「うん。あまりそれっぽくないでしょう?町の人にも親しみやすいように宗教色が強くないような作りにしてあるんだ。」

「へえ…。」

「もし興味があるなら見て行く?あ、別に勧誘するつもりはないから心配しないでね。」

「い、いいえ。え、遠慮しておきます…。」

 教会の関係者だったのか。若い人なのに、なんだか凄く落ち着き払っていて不思議な人だ。よく知らないが、宗教関係者独特の雰囲気なのかもしれない。ボクは少し苦手な感じだ。

「そっか。もし気が向いたらおいで。最近は若い人もよく来てくれるから。」

「……あ、あの。さ、さっき誰かが慌てて入って行くのが見えたんですけど、その人も…?」

 ああ、あんまり関わりたくないって思ってるのにどうしてそんな事聞いてしまうんだ!ボクは質問してから後悔した。男は少し驚いた顔をしたが、また落ち着き払った微笑みを浮かべた。

「私はさっき君がいるのに気づいて出て来ただけだから見てないな。でも、神様に懺悔しに来た人かもしれないね。講堂は解放してあるから時々来るんだよ。そういう人の話は頼まれたら聞くけど、大体は聞かない様にしてるんだ。神様とその人の間の事だからね。」

「そうなんですか…。よ、余計な事聞いてすみません。えと、じゃあボクこの後用事があるんで、お邪魔しました。」

「ああ、うん。気を付けて帰りなさい。」

 ボクは男の言葉を背中に受けながら急いで帰った。黄昏時だったせいもあるかもしれないけど、なんだか不気味な感じがした。宗教って聞くだけで、あまり良い印象がないからかな。

 天の川公園。

「………なるほど、これか。」

「結城君!昨日夜遅くまで公園で何をしていたんですか!」

「部活動です。」

「その場合は届けを出すように言いましたよね!というか、部活動の延長は原則夜の八時まででしょう。」

「どーせ部活の指導どころか見にもいらっしゃらないのに。先生の監督不行き届きも問題じゃありませんか?」

「そ、それは…。すみません、ど、どうしてもそのー…。」

「顧問やるならその怖がり治してくれません?迷惑なんですけど。」

「な、なんとかします…って、そうじゃなくて!最近他校の生徒が不審者に襲われる事件も頻発してるんですから、気を付けて下さい!」

「あれ、馨君。それと…。」

「あ!裕太くん!裕太くんも日直?」

 朝、日直の用事で職員室に行くと、馨君がボクがあまり知らない先生に叱られていた。途中から馨君が叱ってたけど…。誰だろうと思っていると、後ろから美弥さんに声を掛けられた。


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