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Panta rhei

当ブログは管理人、三枝りりおのオリジナル作品を掲載するブログです。

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第四話 Tragedy of table turning(7)


Tragedy of table turning(7)



 翌朝、教室に着くとなんだかいつもより騒がしい。何かあったのかと周りを見渡していると、ふいに肩を叩かれた。振り返ると、涼君と馨君が立っている。二人とも暗い表情だ。

「涼君、おはよう。どうかしたの?」

「ああ、…昨日、生徒会長が通り魔に左腕を刺されたらしい。」

「えっ…!生徒会長って…羽淵先輩が!?」

「ああ。義人によると、幸い空手をやっていたらしく、うまく避けたおかげで傷は浅いらしい。午後から学校に来るそうだ。」

「そう…でもそれって『お使いエンジェルさん』の…?」

「わからないが、古賀先輩の家へ向かう途中に不審な男に襲われたんだと。古賀先輩は羽淵先輩から電話が来たおかげで外にでなかったから無傷らしい。もし関係があるなら、犯人は男だろうな。」

「…そうとは限らないと思うけど。」

 今まで黙っていた馨君がぼそりと呟いた。

「…馨、まだ本物のエンジェルさんが犯人だとか言うつもりなのか?」

「黙れ。…今日の放課後、古賀先輩を部室に呼べ。もう被害者は出ないよ。」

 馨君はそれだけ言うと自分の席に戻って口をきかなかった。もう被害者は出ない?それは、古賀先輩が犯人と言うことなのかな?涼君は心配そうな顔をしながら馨君を見ていたけど、仕方ないといった様子で二年生の教室に向かって言った。

「ね、ねえ!エンジェルさん、どうにか出来なかったの!?百合乃ちゃんまで怪我しちゃったんだよ!」

 部室に入るなり、古賀先輩が声を張り上げる。震えた声を精一杯絞り出すその様から、彼女が窮地に立たされていることが伺えた。

「キンキン声はやめてください古賀先輩。…貴女こそ嘘をついてわざとボク達を混乱させていたんじゃありませんか?」

ガタガタ!

「…?馨くん、掃除用具入れが鳴ってるよ。」

「物が倒れたんだろ。さあ、どうぞ。」

 見るからに機嫌の悪そうな馨君が手で古賀先輩に腰掛けるように促した。しかし、彼女は馨君に抵抗する様にそれを無視した。

「……それ、どう言うこと?」

「本当はなくしてませんよね、十円玉。」

 馨君が指差す自分のバックを見て彼女の動揺が増した。

「『お使いエンジェルさん』、本当は何もかも成功してたんじゃないですか?まあ、河内先輩が昏睡状態の為に帰すことは無理だったのかもしれませんが。」

「…そう、だよ。『お使いエンジェルさん』はうまくいったの。……私のお願い事も含めて。」



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